香港の概要香港 |
香港は華南の珠江デルタに位置する香港島、九龍半島、新界及び周辺の南シナ海に浮かぶ島々を含めた中華人民共和国の特別行政区です。面積は1,104k㎡であり、札幌市とほぼ同じです。人口は700万人を超えており、アジアを代表する世界都市の一つとなっています。1842年の南京条約などにより清朝からイギリスに割譲された土地と租借地で、以降はイギリスの植民地となりましたが、1997年7月1日にイギリスから主権移譲され、特別行政区と改編されました。古くからアジアにおける交通の要所であり、自由港であることから、植民地時代から金融や流通の要所でもあります。今日ではロンドン・ニューヨークと並ぶ世界三大金融センターの一つと評価されており、ゴールドマン・サックスなど多くの多国籍企業がアジア太平洋の地域統括拠点として進出しています。中華文化圏のみならず世界でも有数の文化発信地となっており、ショッピングや食通の街として栄えていることから、世界中の観光客が訪れます。超高層ビルが立ち並ぶ近代的な街並みだけでなく、離島や郊外の丘陵地帯などの自然に触れられる場所などの様々な見どころが、領地が狭いために隣接しているのが特徴です。また、マカオや深圳市などの近隣地域と組み合わせて観光するケースも多く見られます。 |
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気候 |
温帯夏雨気候(サバナ気候 - 温暖湿潤気候移行部型)に属し、秋・冬は温暖で乾燥しており、春・夏は海からの季節風と熱帯低気圧の影響で高温湿潤という気候です。秋はしばしば台風に襲われ、スターフェリーやマカオへ向かう水中翼船などの船舶や航空便、トラム路線が運行停止になることもあります。台風の警報が発令されると各種イベントが中止となるだけでなく、学校や企業、官公庁も休業となります。冬は中国大陸から吹き込む北風により中国本土の粉塵、工場や自動車から排出される排ガスが流入することが多く、近年はそれによる霧や靄がしばしば発生しています。また新界地区では、最低気温が10度を下回ることもあり、低温による凍死者も出るため気温低下が予測される日には暖房設備を準備している公共施設を開放する事があります。 |
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住民及び人口 |
香港特別行政区政府統計処の発表によれば香港の人口は約692万人です。香港はその限定された面積であるにもかかわらず北欧諸国並みの人口を有し、その居住地確保のために山地の中のわずかな平地部に高層マンションを林立させるという独特の景観を有しています。1平方キロメートルあたりの人口密度は6,270人と世界で最も人口密度が高い地域の一つでありますが、さらに平地部分に限定すれば1平方キロメートル当たり20万人以上にもなります。香港の出生率は1000人あたり9.6人で、世界でも低水準にあります。
香港島北部の住宅地と九龍半島への人口が集中しています。香港の人口で最も多いのは「華人」と呼ばれる中国系で、全体の95%近くを占めます。華人以外で多いのはメイドなどの出稼ぎ労働者として多くが働いているフィリピン人やインドネシア人で、その次に多いのがアメリカ人、次いで元宗主国のイギリス人です。日本人は約2万人居住しています。 |
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言語 |
公用語は英語と中国語であるが、事実上の共通語は、方言の一つである広東語です。人口の 95.2%が広東語を常用もしくは理解し、38.1%が英語を常用もしくは理解します。英語は中国語に対する上位言語であり、イギリスの統治が始まってから1974年までの間、唯一の公用語とされていましたが、中国語(普通話に近い形で書いて広東語で発音する)も事実上の公用語でした。香港が中国に主権移譲された後(1997年以降)は、香港特別行政区基本法第9条により、香港の行政・立法・司法の場において、中国語に並ぶ正式な言語として英語を用いることができると規定されています。なお、香港で最も広く用いられている言語が広東語であるのは前述のとおりでありますが、基本法同条の規定では単に「中国語」とのみ書かれており、普通話・広東語の別については規定されていません。 |
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宗教 |
仏教・道教、ついでキリスト教徒が多いです。道教に根ざした思想や風習が広く市民の間に浸透しています。関帝や天后など道教の神を祀った寺院(道観)が、中心部・郊外を問わず、各所に建てられています。また、近代的なビルの一角やオフィス、店舗の片隅に関帝が祀られていたり、路傍などに土地神を祀る小さな祠がしつらえられていることも多く、そこには多くの場合、線香や供物が絶やさず供えられています。イギリスによる長年の統治の影響により、キリスト教も比較的広く信仰されています。歴史的な建造物であるものから雑居ビルの一室のものまで含めた各宗派の教会や、キリスト教系の団体を母体とする福祉施設や学校などが数多く存在しています。他にも仏教寺院やイスラム教のモスク、創価学会の会館などもあります。 |
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サブカルチャー |
香港のサブカルチャーは貿易都市として東西の文化が入り交じりながらも、香港の生活や歴史を反映した独自のコンテンツも多く、多彩な一面を見せています。
1990年代の後半から、造形作家のマイケル・ラウ(劉建文)やエリック・ソー(蘇熏)、鉄人兄弟(鐵人兄弟:brothersfree)などを筆頭としたフィギュアなどの立体造形作品が隆盛しました。日本では渋谷系文化の一端として紹介されました。
現在の香港では、日本文化からの影響とその人気は大きいです。これは元々香港で放送されているテレビ番組などで、日本のアニメーションやドラマなどのコンテンツが数多く提供されていることが考えられ、特に若年層の生活様式やファッションなどにも多大な影響を与えています。香港独自のコンテンツとしては、中国の歴史を基本とした武侠やアクション、黒社会などを題材としたを香港コミックス(香港漫画)があり、分業制で制作される劇画調のスタイルが特徴です。
香港でのサブカルチャー文化の消費を支えている地区は、主に香港島の銅鑼湾地区や九龍の旺角地区などで、近辺にはこれら商品を取り扱う店舗が出店している専門店街やショッピングセンターが数多くあります。 |
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経済 |
2010年のGDPは約2264億ドル(約18兆円)であり、福岡県とほぼ同じ経済規模です。世界屈指のビジネス拠点であり、2012年4月、アメリカのシンクタンクが公表したビジネス・人的資本・文化・政治などを総合評価した世界都市ランキングにおいて、世界5位の都市と評価されており、ビジネス分野では東京、ニューヨーク、パリに次ぐ4位でした。2011年には、アメリカのダウ・ジョーンズなどにより、ニューヨーク、ロンドン、東京に次ぐ世界4位の金融センターと評価されています。
17年連続で『世界で最も自由な経済体』に選出されているように、経済形態は規制が少なく低税率な自由経済を特徴とします。食料や日用品などの対外依存度が高いです。もともとイギリスの対中国貿易の拠点であったことから中継貿易が発達していました。 |
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観光 |
観光産業が経済的に大きな位置を占めるということもあり、香港政府観光局や、フラッグ・キャリアのキャセイパシフィック航空を中心に海外での宣伝、観光客の誘致活動が大々的に行われており、現在、観光親善大使を香港出身の映画俳優であるジャッキー・チェンが務めています。
香港島中西区には香港上海銀行や中国銀行・香港分行、国際金融中心などをはじめとする超高層オフィスビルやホテルが、九龍城区、油尖旺区等の繁華街には大規模なショッピングモールや様々な様式のレストラン、高級ブランドのブティックやエステサロンなどが立ち並び、活況を見せています。
郊外や島嶼部に行くと昔ながらの風景を楽しむことができる他、自然が多く残されており、ハイキングなどを楽しむことができます。また、2005年9月に香港の新たな名所としてランタオ島に香港ディズニーランドがオープンしました。
1960年代より映画産業が盛んであったこともあり、現在も香港映画の多くにこれらの観光名所が登場する他、日本やアメリカの作品においてもこれらの観光名所が登場することも多く、観光客誘致に一役買っています。
近い上に観光資源が豊富なことから、1970年代の海外旅行ブームのときより日本人の間で人気の旅行先としての地位を保っています。 |
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