アイルランドの概要 |
アイルランド共和国、またはアイルランドは、北大西洋のアイルランド島に存在する立憲共和制国家です。北東に英国北アイルランドと接しています。首都はアイルランド島中東部の都市ダブリンです。ナショナルカラーは緑です。独立時の経緯によりアイルランド島の北東部北アイルランド6州は英国を構成するが、アイルランド共和国は1998年のベルファスト合意以前は全島の領有権を主張していました。2005年の英エコノミスト誌の調査では最も住みやすい国に選出されています。 |
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政治 |
1949年以降は共和制を採用しています。元首は大統領で国民の直接選挙により選出されます。大統領は基本的には名誉職であり、儀礼的な役割を主に務めるが、違憲立法審査の請求、首相による議会解散の拒否などの権限があり、国軍の最高司令官をつとめます。初代大統領は作家のダグラス・ハイドが就任しました。1990年から2011年までメアリー・ロビンソン、メアリー・マッカリースと二代続けて女性が大統領に選出されており、保守的傾向の強かったアイルランドの変化を象徴しています。現在の大統領はマイケル・D・ヒギンズです。現在では北アイルランド問題が持ち上がっています。 アイルランドの議会(ウラクタス, Oireachtas)は二院制で上院がシャナズ・エアラン(Seanad Éireann)、下院はドイル・エアラン (Dáil Éireann) と呼ばれます。議会から選出された首相(ティーショク, Taoiseach)が行政府の長となります。1973年にはEC(現在EU)に加盟しています。 |
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気候 |
温暖なメキシコ湾流と、大西洋から吹く偏西風の影響で気候は安定した西岸海洋性気候となっており夏は涼しく、冬は緯度の高い割に寒くありません。また、地域による気候の差もほとんどありません。平均気温は、もっとも寒い1月と2月で4~7℃程度、もっとも暖かい7月と8月では14~17℃程度です。最低気温が-10℃より下がることや、最高気温が30℃を超えることはほとんどありません。年間の降水量は、平野では1000mm程度です。山岳部ではさらに多く2000mmを超えることもあります。月ごとの降水量はほとんど変わりません。 |
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言語 |
第1公用語はアイルランド語、第2公用語は英語と規定されています。しかし、ゲールタハト地方などの一部を除くほとんどの地域では英語が使われています。アイルランド固有の言語であるアイルランド語は長年のイギリス支配により英語にとって変わられ、衰退してしまったが、近年は政府による積極的なアイルランド語復興政策が実行されています。政府による文書などもアイルランド語と英語の2言語で発行され、2007年にはアイルランド語はEUの公用語に追加されました。テレビやラジオなどでもアイルランド語による放送があります。義務教育ではアイルランド語が必修であり、公務員試験でもアイルランド語の試験が課せられます。アイルランド語復興政策の影響で、2006年センサスによると国民の39%がアイルランド語を十分に話すことができるようになりました。しかしながら、ゲールタハト地方などを除くとアイルランド語は日常会話ではあまり話されていないのが現状です。 2006年にはおよそ、7万人程度がアイルランド語を日常的に用いているという統計があります。 |
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宗教 |
アイルランド共和国は国家として宗教に中立な立場を取っています。国民の約86.8%がローマ・カトリック教徒です。アイルランドの守護聖人は聖パトリックと聖ブリジットです。カトリック以外ではアイルランド国教会、長老派教会、メソジストと続きます。近年イスラム教の増加もあり1996年にはダブリンのクロンスキーにモスクが出来ました。 |
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教育 |
アイルランドにおける教育システムは他の西ヨーロッパ諸国の例と大きな違いはありません。各段階の公立、私立学校双方の授業、運営にカトリック教会が関与する点が特徴であります。トリニティ・カレッジの物理学者アーネスト・ウォルトンは1951年にノーベル物理学賞を受賞しています。 |
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経済 |
アイルランド経済は他のヨーロッパ諸国と比べ小規模であり国際貿易に大きく依存しています。かつては西欧でも長きにわたりポルトガルなどと並び最貧国のひとつに数えられたが、1990年代に入ってからEUの統合とアメリカを中心とした外資からの投資などにより急成長を遂げました。1995年から2000年の経済成長率は10%前後であり、世界において最も経済成長を遂げた国のひとつとなりました。以前に経済の中心をなしていた農業は産業の工業化により重要度が低下しました。現在では工業はGDPの46%、輸出額の80%、雇用の29%を担っています。近年のアイルランド経済の力強い成長は外資企業・多国籍企業や輸出が寄与するところが大きいが、国内における個人消費および建設、設備投資による影響も見逃せません。好調な経済に伴いここ数年のインフレ率は4%から5%で推移していたが、2005年度には2.3%に低下しました。アイルランド国民の関心を集めている住居価格は2005年2月で251,281ユーロでした。失業率は低水準を維持しており収入も順調に増加しています。世界の主要都市における調査によると、アイルランドの首都ダブリンは22番目に物価の高い都市であり、2003年度の調査から2位上昇しています。アイルランドはEUの中でルクセンブルクに次いで人口あたりGDPが大きい国であり、これは世界においても4位に位置しています。 |
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スポーツ |
ゲーリックフットボールやハーリングといった伝統的なゲーリック・ゲームスが人気が高いです。その他にサッカーやラグビーも人気が高いです。サッカーは多くのアイルランド選手が海外のクラブチームでプレーをし、ラグビーはシックス・ネイションズの強豪国です。 |
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食文化 |
牧畜業が盛んなため、乳製品や肉、その加工食品が多く食されています。ジャガイモは多くの食事に添えられています。島国にもかかわらず魚の料理は少ないが、スモークサーモンは人気が高いです。西部に行くと魚介類の料理が増える。近年の経済発展と共に海外の食文化も取り入れられ、伝統料理と組み合わせた多くの創作料理で外食産業を賑わせています。紅茶の消費量は世界一です。ビールのスタウトが多く作られています。 |
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アイルランド人の人名 |
19世紀から20世紀にかけてアメリカへと移住したアイルランド人の間で、アイルランド語で書かれ発音されていた人名を英語化することが行われました。今でもアイルランド語、英語両方の名を持つ人々が存在します。
ゲール由来の家名にはO’およびMc(少数はMacまたはMa)で始まる場合があるが、これはそれぞれ~の孫、子孫を示す接頭語です。例えばアイルランド上王のブライアン・ボル(Brian Boru)の子孫はオブライエン(O'Brien)という具合です。Mcについては高地スコットランドの家名と同様に~の子といった意味であります。接頭語Oで始まるアイルランド固有の名前としては : O'Neill、O'Brien、O'Connor、O'Leary、O'shaughnessy、O'Donnell、O'Toole、O'Meara、O'Malley、O'Hara、O'Bradaigh、O'Reillyなどがあります。
同様にMc、Macで始まる名については : McGroyn、McGuinty、McStiofain、McDonagh、McDonald、McQuillan、McGuinness、McGonigle、MacArthur、McQueen、McGuireなどです。
12世紀後半から13世紀にかけてノルマン人、ウェールズ人、ブリトン人などがアイルランドを侵略してレンスター王国の一部を占領しました。それから300年ほどの間に支配階級のアイルランド種族と通婚を繰り返し、現在"古来のアイルランド人よりもアイルランドらしい"と言及されるような文化を作り上げました。
こうした史実を背景に生じたのがFitzを冠する家名です。Fitzはノルマン語の子fisに由来します。Fizで始まる名は : FitzGerald、FitzSimmons、FitzGibbons、FitzPatrick、FitzHenryなどです。 |
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